第1章 『Trade 2→9 』影山
の言葉が、じわじわと染みていく。
そんなこと、ねえよ。
俺は、俺にできることをしてるだけだ。
それに、俺は………。
突っ立ったままのの両手を取って握りしめる。
すると、が驚いて身を固くするのが分かった。
「俺は、何も変わっちゃいねえよ。」
「え……。うそ、何言ってんの。変わったじゃん。今や全日本の最強セッター…」
「そうじゃねえよ。」
の言葉を遮って、続ける。
「俺は、ずっとのことが忘れられないままだ。」
「………!!」
俺の言葉に、は傷ついたような表情を見せた。
戸惑ったように俺から視線を外す。
そんなに、俺は再び声をかける。
「なあ。」
さっきからずっと考えていたことを、伝えよう。
俺の呼びかけに、はほんの少しだけ視線を上向けた。