第16章 調査

「確かに難しいです。

円というのは躔（テン）と練の高等応用技です。

達人と呼ばれる人の円は約50メートルと言われています。


術者の系統や性格によって向き、不向きが大きく別れるものだと思いますよ」


「そっか。

努力してるんだね、リアも」


ポン、とシャルの手が頭に乗る。


「努力しなければ誰も “ 私 ” を見てくれませんから」


「え？」


「あ、いえ。

なんでもありません」


何を口走っているんだろう、私は。


「お、着いたみたいだね。

ちょっとチケット盗って来るから待ってて」


そう言うとシャルはチケット売り場の列の中へと消えた。


「さきの言葉、信じても良いか？

納得するまで頭継がないこと」


「どうぞ」


「そうか。

…お前、人を殺したことあるか？」


「ええ」


「怖いと思たか？人を殺すのが」


「そう思ったことは1度もありません」


生きる為に必要な行為だったから。