第6章 Naughty(良平)
「え?覚えてないの?」
「はい……」
「あんなに熱い夜を過ごしたのに?」
やっぱり至した後?
「おねだり上手だったのにな~。」
「!?」
そう言って、巻き付けたシーツの隙間から手を差し入れウエストを触られる。
「ッ!」
全っ然思い出せない…
もう…本当に嫌…
情けなくなって瞳が潤む。
「………」
ズッと鼻をすする事しか出来ない。
「………」
「クックックッ…アハハ…」
大きな笑い声に、驚き振り返れば困ったように笑ってた。
「ごめん。ごめん。」
「へ?」
「悪のりしちゃった。泣かせるつもりは無かったんだけど…」
そう言って、私の目元を親指で拭う。
「?」
驚きと戸惑いで困惑しながらも、目の前の人の顔を見つめる。
すると私の瞳を見つめ話し続けた。
「俺が誰かは…」
その質問に情けなくなって、目を伏せる事しか出来ない。
「覚えてないか…」
「すみません。」
ホントに情けない。
「えっと。オレは、良平。自由と同業者で、前は同じ劇団に所属してて。今は事務所は違うけど同じレーベル。」
そう言って、ニコッと笑ってくれた。
「自由と三人で飲んでたんだけど、自由が途中で抜けて二人で飲んでたって訳。」
「どう?思い出せた?」
首を横に振ると、話を続けてくれた。
「お互いお酒が好きって話から、家のバーが見たいってなって。」
「ここで飲み直してたんだよ。」
「そしたら…」
「目を離した隙に、ソファで紗友ちゃん寝ちゃって。」
「オレがシャワーから出てきたら…」
「寝ゲロしててさぁ…」
「!?」
「さすがに吐しゃ物にまみれたままだと…ね?」
「悪いと思ったんだけど…脱がせました。」
「一応、あまり見ないように心掛けて体を拭いたりしたんだけど…」
「ごめんね。」
「それで…オレのシャツ着せて…ベッドに運んで寝た訳よ。」
「でも、気付いたらこうなってた(笑)」
「隣で寝たから、暑かったのかな?」
恥ずかしくって、顔が見れない…
穴があったら今すぐ入りたい…
「………すみません………。」
絞り出した声は蚊のように小さかった。