第18章 誓いの言葉
"木葉さんの隠れ家"までの
40分ほどの道のりの間、
京治さんはずっと眠ったままだった。
温泉に行った日から数日なのに、
なんだか少し、痩せたように見える。
食べてないのか、眠れなかったのか、
もしかしたら、そのどっちも、かも。
一人で悩んで、決めて、行動して…
それでもすぐに解決するわけではなく、
まだ、問題は山積みで。
どんなに孤独な時間だっただろう。
いろいろ話したいこともあるけど、
何よりもまず眠らせてあげたくて、
肩によりかかる頭が落ちないように
押さえては髪を撫で続けた。
"木葉さんの隠れ家"に到着しても
まだ眠ったままの京治さん。
起こすべきかどうか迷っていると
木葉さんが遠慮なく、声をかける。
『おーきーろー、あーかーーしーっ!』
ハッとした様子で目を覚ます。
…ここがどこなのか、
今、どういう状況か
わからない様子だったけど、
運転席と助手席から振り返って
顔を覗きこむ木葉さんとエリさん、
そして横にいる私の顔を見て、
本当にホッとした顔をしてくれる。
『すんません、また寝てました。』
『ほんと、小春ちゃんはあかーしの枕だなぁ。』
『赤葦君、寝言いってたよ。
小春~、小春~、って。』
『え、マジですか?』
『ウソ(笑)』
『エリさん、俺で遊ばないで(笑)』
やっと少し笑顔が戻った京治さん。
そのまま四人で部屋にあがると、
木兎さん夫婦も到着していた。
『おー、みんな無事か?
もう、乱闘なら、俺、呼べよ~。
あ?英語?!
じゃ、俺、役に立たねーな(笑)
ま、とりあえず、みんな揃ったし。
飯食わねーと始まんねー!』
…テーブルの上に、
木兎さん達が準備してくれていた
ピザやサラダやお寿司やチキンや
あれやこれや…が、パーティーみたいに
色鮮やかに並んでいる。
そして何よりも、
木兎さんのあの明るさ。
みんなが揃うと、ほっとする。
本物の、家族みたい。
『よし、乾杯すっか!』
『木兎、バカ!
あかーしにとって大変な日だったんだぞ。
何に乾杯すんだよ?』
『じゃあ、』
京治さんが笑ってグラスを掲げる。
『小春の無事に、乾杯。』
大騒ぎの1日だったけど、
最後はこうやって皆で集まれてよかった。
…ほんとに、よかった。