第18章 誓いの言葉
『京治さんっ!』
たまらず、
後部座席に飛び込んで抱きつく。
京治さんも、ギュッと抱き締めてくれた。
『イヤな思いさせてるのに…
俺が助けてやれなくて、ごめん。』
…つらそうな、顔…
車を走らせ始めた木葉さんが口を開く。
『ごめん、小春ちゃん。
あかーしには言わないつもりだったんだけど
案外、こいつ、早くうちに来てさ。
俺ら、小春ちゃんのこと心配だったから
ちょっと迎えに行ってくるって言ったら
ついてくるってきかなくて。
事情、説明するハメになった。』
エリさんが、話をひきつぐ。
『赤葦君、
自分が助けに行くってきかなかったんだよ。
そりゃ、赤葦君が目の前で
さらってくれたら格好いいけど、
それじゃ騒ぎが大きくなるし、
小春ちゃんの立場も
ますます悪くなるじゃん。』
『で、俺はここで、
あかーしが暴れないように見張り番。
現場はエリに頼んだってわけ。
どうだった?エリ、頼りになった?』
『もう、最高にカッコよくて!
それに、エリさんの英語作戦、
最善策だったと思います。
本当に助かりました。』
『な、あかーし、エリに任せとけば
大丈夫だったろ?…あかーし?』
『…しーっ、秋紀、静かに…』
『もう、寝た?はやっ!』
…京治さんは
私を抱き締めたままのポーズで
肩に頭をのせ、
コトン、と電池が切れたように
眠っていた。
少し小さい声で、木葉さんが言う。
『小春ちゃんが営業接待に
同席してる、っていったら、
コイツ、マジで怒ってた。
誰の命令だ、
なんで小春なのか、って。』
『ここに着いた時も、ホントに、
飛び出して乗り込んでいきそうだったもん。
落ち着こうよ、って何回言ったことか。』
『いつも冷静なコイツが、だよ。
あんなあかーし、初めて見た。』
『小春姫のピンチに
自分が駆けつけられないのが、
悔しいんだろうね。
小春ちゃんの王子様なのに。』
『…でもさ、
あかーしも普通の男なんだって、
俺、ちょっと嬉しかったわ。
コイツ、いっつも完璧だから。』
…二人の話を聞きながら、私はずっと、
京治さんの髪の毛を撫でていた。
私よりきっと、
京治さんの方が、苦しい、ね…
せめて、ゆっくり、眠って…。