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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第18章 誓いの言葉




…京治さんじゃ、なかった。

営業部の部長さん。
受付の前をよく通る人だったから
覚えてる。

『小春さん、
今夜、営業部の接待に同席して下さい。
うちの部署の女性を
つれていく予定だったんですけど、
あいにく急ぎの仕事が入ってしまって
行けなくなってしまったもんだから。
そしたらちょうどここに一人、
ヒマな女子社員がいると聞いてね。』

『今夜、ですか?あの、私、今夜は…』

『仕事だから、断らないように。
たまには会社の役にたってもらわないと。』

『私、営業のこととか全然わかりませんけど…
接待って、何をすれば?』

『ま、先方が気分よく飲めるように、
話し相手やお酌をしてもらえればね。
君でも、そのくらいなら出来るだろ?』

ドラマだったら
"大根役者!"と文句を言いたくなるような
わざとらしい言葉のあと、
場所と時間を言い残して
部長は、出ていった。



イヤな感じなのに、断れない雰囲気。
怪しいし、
絶対、わざとらしい。

…ほんとに、こんなことになるんだ…

京治さんという人が
いかに大きな仕事に関わっていて
たくさんの人の人生を左右する立場なのか
改めて、知らされる。

でも、
もう、動き出した全てのことを
私が止めることは出来ない。

出来るのは、
京治さんに迷惑をかけないように、
自分のことは自分でちゃんとすること。

京治さんは、

自分が何年もかけて準備してきた仕事を
なげうつことになると、

悩んで悩んで、
一人で悩んで、

それでも縁談を断る、
…つまり私を選ぶと決めて
退職願いを出したに違いない。

私一人、
めそめそぐずぐずしていられない。

京治さんの気持ちや努力に
なんとか少しでも役に立つためには、

私も、強くならないと。



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