第18章 誓いの言葉
『俺はやっぱり、うちには
父親はいなかったと思ってますから。
あなたは、父ではなく、社長だ。
…社長として、尊敬してます。』
『そういってもらえて、本望だよ。
…さぁ、もう行きなさい。私も忙しい。
明日のことは、また連絡する。
それと、今日は、帰れ。
お前が社にいると他の者が仕事にならん。』
『お忙しいところ、失礼しました…あ、社長、』
『なんだ?まだ用があるか?』
『ありがとうございます。』
『ん?何か礼を言われるようなことがあったか?』
『小春を先に資料室に異動させて頂いて。
もし受付にいたままだったら、
今から当分、
周囲からの風当たりが激しくて
仕事にならなかったはずです。
…ドアを開けておくように言ったのも
周囲の人間に気を付けるよう助言したのも、
俺が外で聴いてるって知ってて…
小春に注意するよう伝えろ、って
わざと外向いて
言って下さったんですよね。』
『…地下室で密会って、いいなぁ。』
『…何言ってんですか?』
『俺も経験ない気がする…
うん、あれは、男のロマンだ。』
『木兎さんみたいなこと
言わないで下さいよ(苦笑)』
『あぁ、コータロー!
あいつなら、お前と違って
バカな話にもノッてきてくれそうだ。
たまには仕事に関係ない若いのと
エロ話でもしながら
楽しい酒が飲みたいもんだなぁ。』
『木兎さんに、伝えときましょうか?』
『いや、やめておこう。
私は当分、お前らの悪役でおらんとな。
さぁ、行きなさい。』
…カツ、カツ、カツ
『…ありがとうございます…父さん。』
…ギィ、パタン、カチリ…