第15章 月島くん。
「一生懸命作りましたので、どうぞ気持ち悪がらずにお納めください……」
「何その言葉遣い……」
なんだかんだ言いつつ、チョコを口に運んでくれた彼は呟いた。
「うん。…………おいしいんじゃない。」
「ほ、ほんとに!!良かったあ………」
その言葉に、全身の力が抜けていくようだった。
蛍くんに喜んでもらいたくて作ったから。
素直に褒めてはくれないけど、喜んでくれてるって私、分かるから。
そう思っていたのに、ついさっき私の彼氏様になったこの人は、また余計なことを口にする。
「まあ、手作りチョコの定義は未だに疑問だけどね。」
「また………ぶち壊しだよー!!せっかく喜んでたのに!!じゃあもういらないよね。返して!カカオからじゃなくてすみませんでしたー!」
そう言って差し出していた紙皿を引っ込めようとすると、彼は私の手首を掴む。
「待ちなよ。僕にくれたんだから、もう僕のものでしょ。」
「う………」
確かに。
そんなことを思っている間に、彼はお皿の上のチョコを平らげた。
そして丁寧に、ごちそうさまでした、と呟く。