第7章 東京遠征
そして、皆がまだまだお肉を奪いあう中、私はたまたま近くにいた猫又先生と武田先生の会話を聞いてしまった。
その言葉に、思わず私の箸が止まる。
“半年後、今と同じチームはひとつもない”
そうだ。
最後まで勝ち残ったとしても、もう半年後には。
そう思うと、今ここでこうして皆といることが急に奇跡のように思えて泣けてくる。
“今しかできないことを、今しか一緒にいられないやつらとする”
前に菅原先輩に言われた言葉までもがフィードバックし、涙でぼやけた視界を私は慌てて拭った。
そんな私に気付いたのか、菅原先輩が、どうした?と声をかけてくる。
「煙が目にしみて…!」
咄嗟にそうごまかしたけど、きっと先輩には泣いているのに気付かれていただろう。
これから各校が辿ることになる春への道。
最後まで勝ち続けられるのは一校のみ。
そう考えると切なくなる。
自分の考えが甘すぎて嫌になるけれど、皆が少しでも後悔しない高校バレー生活になるといいな。
そう思いながら、私は一週間の合宿を終えたのだった。