第5章 IH予選
快晴。
その日、烏野のインターハイ予選が始まった。
強豪を前にはやる気持ちを抑え、目の前の試合に集中することを皆で確認し合い、一試合目に臨んだ。
相手チームには大地さんの中学時代のチームメイトがいたらしい。
1回戦を危なげなく勝ち進み、続けて行われる2回戦に備えようとしていたところで、大地さんは元チームメイトの人に呼び止められていた。
そして、思いを託された。
俺達の分まで勝ってくれ。
その様子を見て、私は一人で胸を熱くしていた。
春高バレーや甲子園などで、たくさんの高校生の想いが散る瞬間を目にしてきたけれど、実際その当事者になってみると心持ちが全く違う。
昔の自分なら、相手に同情してしまっていたかもしれない。
だけど、今は。
自分が戦えるわけではないけれど、誇りを持って言える。
烏野は、強い。
強豪にだって負けてない。
だから、あなた達の分まで精一杯……