第4章 変化
試験後に再開された初めての午後練は、今の烏野の穴であるレシーブ練習をメインに行われた。
コートにボールを落としたほうが負けなのだから、強烈なスパイクも鉄壁のブロックも、ひとつの手段でしかない。
前提として、安定したレシーブでいかにきっちりセッターに返せるかが重要になってくる。
レシーブが満足にできなければそれ以前の問題だ。
その点、リベロなのだから当たり前かもしれないけど、西谷先輩は素晴らしかった。
西谷先輩を見ていると、かつて全日本女子バレーで活躍した私と背丈の変わらない小柄なリベロを思いだす。
世界の舞台で何度もベストリベロ賞を獲得した素晴らしい人で、私も大好きな選手だった。
西谷先輩がスーパーレシーブを見せる度に、性別の違いこそあれど、その人とダブって当時を思い出し興奮した。
私からの視線に気付くと、西谷先輩はこちらを見て笑ってくれたり、近くを通るとボーリングの時のようにハイタッチしたりもした。