第4章 変化
「おい、何だよあの時のことって。」
隣の影山くんが私に聞いてくるけど、ここで答えられるような内容じゃない。
「まあ、影山は気になるよねえ。大好きなマネージャーのことだもんね。」
「なっ…!!」
影山くんは月島くんの言葉に真っ赤になる。
私も思わず俯いた。
月島くんは、私に視線を向けて言う。
「これからもさ、隙があったらどんどんちょっかい出させてもらうから、せいぜい気を引き締めなよマネージャー。」
「ええ…!」
月島くんの言葉に顔を上げると、私の目の前には影山くんの後ろ姿が。
私と月島くんの間に割って入っていた。
「…そんなことさせるかよ。」
「ふーん…王様も随分丸くなっちゃって。恋は人を変えるもんだよね。」
「恋?!!」
「…まさか気付いてないわけ?君、マネージャーといる時、普段と全然雰囲気違うよ。花でも飛んでるみたいでさ。分かりやす過ぎてバカみたい。」
あ、実際バカなんだっけ?
そう言って笑う月島くんを、影山くんはいつものように怒ることはせず、その顔を俯けた。
「おいお前らそこまでにしろー。もうすぐ練習始めるぞ。」
最後にやってきた大地さんに声をかけられて、その場はそれで終わりとなった。
しばらく俯いていた影山くんは、私の方を振り返り、すれ違いざまに
「絶対隙…見せんじゃねえぞ。」
そう言って私の頭をコツンとした。
隙ってどうしたら生まれないものなんだろう…
影山くんにコツンとされた頭に手をやりながら、私はひとり考えるのだった。