My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
"アレン・ウォーカーに続き、二人目のノアを教団から出してしまった。非常に悲しいことです。しかしこれは転機とも言える。アレン・ウォーカーの"14番目"という謎の多き特異因子とは異なるノア。覚醒すれば、それは我らが力となり得るかもしれません"
"それはどういう───"
"彼女を飼い馴らせるかどうか、中央庁で検討してみることとなりました。教皇の意志でもあります、ご了承を"
"は…?飼い馴らすってなんだよ、ねーちゃんを物扱いすんじゃねー!"
ルベリエの言葉に反論したのは、その場で一番の幼さを持つティモシーだった。
他の者達はアレンでの経験を踏まえていた所為か、目立った反応は見せなかった。
ただ、雪の心に突き刺さったのは。
"仕方ないだろ"
"はっ?"
"ノアは敵なんだから"
真っ直ぐに黒い眼を向けてきていた、チャオジーだった。
そこには見慣れた人懐っこい表情はどこにもない。
リナリーやミランダのような悲しげな表情もない。
無表情に、淡々と。
しかし突き放すような眼で雪を見続けていた。
足が竦んだ。
こうもはっきりと、雪にノアであることの意味を伝えたのは、チャオジーが初めてだった。
"このことは既に決定事項。コムイ室長も了承済みです。内輪揉めは後でご自由に。それで何かが変わることはありませんが。でしょう?室長"
"………"
にっこりと笑うルベリエに、コムイは難しい顔をしていたが否定はしなかった。
雪が教団で生きる道はそれしかない。
雪の力が認められれば、彼女の立ち位置は確定する。
今でき得る最善の策は、それなのだ。
"貴女からも何かあればどうぞ。折角の機会ですし、今後の為にも自分の思いを伝えておいた方が良いでしょう。私は仲間内で無闇に衝突させたい訳ではないのです。出来れば穏便に、穏やかに、物事は進めたい性質でしてね"
ノア化の確認をする為に随分と手荒な方法を取った者が何を言うか、とも思ったが、ここで反論することはなんの意味も持たない。
ルベリエが与えた機会に、雪は素直に従うことにした。