My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
「…アレン」
「はい」
「………」
「…雪さん?」
名を呼んだだけで黙り込んでしまった雪に、アレンが不思議そうに首を傾げる。
なんと言ったらいいのか。
どんな言葉を投げ掛けるべきか。
考えれば考える程、声は上手く機能してくれない。
「あっ!」
そんな雪を尻目に、アレンは突如顔を上げると慌てて辺りを見渡し始めた。
その顔色は悪い。
「何?どうしたのアレン」
一体何事か。
まさかまた具合でも悪くなったのか。
深刻な顔を傍に寄せ伺う雪に、アレンは今にも泣きそうな顔をずいっと雪に向けた。
「お菓子がないんです!」
「……………はい?」
目が点になる。
とは、正にこのこと。
「戦利品を入れた籠、肌見放さず持ってたのになんで…!折角かき集めたお菓子が!雪さんッ!」
「え?は、はい」
「リンクは僕の籠持ってましたか!?他にリナリーとか…ッ」
「え。っと…持ってなかったような…」
「えぇええぇえ!!!」
まるで世界の終わりでも宣告されたかのよう。
顔を真っ青に頭を抱えて悲鳴を上げるアレンを、雪は圧され気味にまじまじと見つめた。
くすりと、不意に口元に笑みが残る。
大量の食糧を失くして嘆くアレン。
それは何処からどう見ても、雪のよく知るアレンだったからだ。
気になる表情はあったものの、アレンらしさを取り戻した今の姿を見れば、もう取っ掛かりはない。
「うっうっ…僕の明日のおやつが…!」
「(あれだけの量で一日のおやつなんだ…)そんなに落ち込まないで。アレン」
両手を地面に付いて項垂れる。
そんなアレンの前に屈み込んだまま、雪は笑顔を返した。