My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
「そんなに変な格好かな…これ、リナリーは好きだって言ってくれたけど」
「や、可笑しかないけど…それ一部マニアで有名なやつだから」
「何それ。そんなにマニアな格好?」
「や、そうでもないけど。ないけどなっ」
「じゃあなんで目を逸らすわけ」
「や、だから…ッ」
「おや。ブックマンJr.は童貞男子だったのですか」
「は!?」
「え?…そなの?」
「違ぇし!何急に変なこと言い出すんさ!」
「だってそれ、童貞を殺すセーターでしょう?」
「って知ってんのかよお前!」
「は?…童貞を…殺す?」
一体なんの話やら。
一人理解が追いつかない雪の間で言葉を交わすラビとトクサは、どうやらその服の類を知っているらしい。
今一度自分の姿を見下ろしてみる。
リナリーに勧められて購入したそれは、極々普通のショップで見つけたグレーのワンピース型セーター。
ホルターネックに、背中からヒップにかけて丸裸に近い程大きく開けたデザインだが、重ね着を基本としたものだから下には当然の如くカットソーを着ている。
故に露出はどこもない。
これのどこがそんな低俗な名の付くセーターなのか。
「裸体にそれ一枚だけ着込んだ、卑猥な格好が一部で有名なのですよ。知らぬが仏とはこのことですね」
「…何それ」
確かに下に何か着込んでいなければ、露出狂と言われても可笑しくない格好に成り下がってしまう。
しかし重ね着の服装はそんな露出部位、どこにでもある訳で。
「…くっだらない…」
童貞を殺すなどと。
なんとも陳腐な名前を付けたものだと、雪は深く溜息を零した。