My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
「なんさ、また喧嘩してんの?」
「喧嘩じゃないよ。私は忠告してるだけ。口が悪いのはトクサの方」
「ああ、いつものことさ。おっはよーさん」
「どうも、使徒様」
「その使徒サマって呼び名いい加減やめて欲しいんだけどなー…」
「エクソシストは神の使徒ですから。間違った呼び名ではないでしょう?ねぇ、電気鰻さんも」
「だーかーらー…その嫌味止めてってムゴッ」
飽きもせずにこにこと嫌味呼びしてくるトクサに、張り上げようとした雪の声は止まった。
否、止められた。
大きな手にすっぽりと塞がれて。
「その呼び名、オレには禁句だから。やめてくんね?」
「おっと。そういえばそうでしたね。忘れてました、すっかり」
雪の口を片手で塞いで、にっこりとトクサに笑いかけているのはラビ。
しかしその顔はトクサ同様、一切目の笑っていないものだった。
忘れもしない。
ヘブラスカの間で、イノセンスの気に当てられ発動した雪のノアとしての力。
眩い高圧エネルギーを体から発する様は、まるで雷の如く。
そんな雪を電気鰻などと嘲笑ったトクサのことを。
「ソレは此処では極秘なんさ。誰に聞かれてるかもわかんねぇ所で、危なっかしい発言はやめろよな。それくらいもわかんねぇの?」
「それはそれは、すみません使徒様。いえ、ブックマンJr.。傍観者となる立場の貴方なら、きちんと場を弁えて一線を引けるのでしょう。"あの時"取り乱したのは、演技か何かですか?」
「迫真ものだったろ?胡散臭い笑顔ばっか浮かべてる奴とは違うんさ」
「ふふ。何処かのヘラヘラした間抜けな笑顔よりはマシでしょう」
お互いに綺麗な程の笑顔のまま、しかし間に漂う空気はピリピリとしたもの。
(何これ、なんかデジャヴ…っユウとアレンじゃあるまいし!)
ラビに口を塞がれたまま、ピリピリと殺気立つ空気を感じ取り雪は頭を抱えたくなった。
どうやら自分の知らないうちに、お互いの中で一悶着あったらしい。
これではまるで、犬猿の仲である神田とアレンのようだ。