第18章 xxx ending √3:TETSURO
カオリと光太郎は時々、連絡をとっているらしかった。
彼女のプライベートは尊重したい。
だから、とくに干渉してこなかった。しなかったけれども。考えてみればカオリは非常にモテるワケで。
「カオリ、……食べさせて」
「もう、研磨は甘えん坊なんだから」
「ねえカオリさん、肩揉んで」
「えー……仕方ないな、少しだけだよ」
「カオリー!愛してるー!」
「うるっさい!アンタ飲みすぎ!」
あれ、これ、もしかして。
ここにいる全員ライバルなんじゃねえの。むしろ、俺が一番出遅れてるんじゃねえのかこれ。そう、だよな。どう考えてもそうだ。
いや、違う違う。
俺がカオリに手を出さないのは、俺がカオリをスゲエ大切にしてるからであって。
愛ってのは何もセックスが全てじゃない。そうだ。俺は俺なりに彼女を愛せばいい。焦るな俺。頑張れ俺。
勉強会なんてどこへやら。
結局、ただの宅飲みへと変貌を遂げたこの集まり。狭いワンルームが笑い声で満たされる。
彼女の為になればと思った。
俺以外と接することも大事だから。まさか、こんなことになるとは思わなかったけど。でも。
「ぎゃー! ゴキブリー!」
「けけけ蛍くん! ゴー!」
「嫌ですよ僕虫とかマジNGなんで」
「……クロん家が汚いせいだ」
カオリが笑ってるから、良しとする。
俺だけじゃあんなに笑顔にしてやれねえし。そう思うとちょっと悔しいけど。
つーか、男が三人もいてゴキブリ一匹潰せないのかよ。不甲斐ないにも程がある。俺はスッ、と華麗に手を挙げて、こう言い放った。
「俺もゴキブリだけは無理」
このあと俺だけ散々野次られて、涙目になりながらゴキを退治したことは言うまでもない。
今度バルサンしよう、絶対。