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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第17章  xxx ending √2:KEIJI



 騒がしい町の雑踏をすり抜けて、息を弾ませて、走る。流れる景色。響くのは足音。彼と同じ道を、走る。

 駅前通りの賑やかさ。
 路地裏の汚れた町角。

 すべてから逃げるようにして飛び込んだのは、昔ながらのラブホテルだった。

 一泊7,900円で買える小さな部屋。
 不義も、密通も、すべてを包み隠してくれる愛の流刑地。二人だけの時間がそこにはある。

「風呂、一緒に入ろう」

「ふ、おふ、……え!?」

「服脱いで、ほら早く」

 今日の京治さん、ちょっと強引。

 いや、普段からだいぶ強引だけど、なんていうか。いつもと違うのだ。いつもはもっと、余裕たっぷりで、温度のない喋り方をする人なのだけれど。

 今日は、そう、空元気のような。
 言いようのない違和感を覚える。

 訝るような視線で彼を見つめて、でも、と思い直した。私が京治さんのことを、知らなすぎただけ。そうなのかもしれない。


「見て、カオリ、すごい泡」


 バスタブに大量の泡風呂を作る京治さん。振り向いて、私の名を呼んで、無邪気に笑う。

 これが本当の彼。
 そうなのかもね。

「お背中、お流ししましょうか」

 あまり気にしないようにしよう。そう、こころに決めてバスルームに足を踏みいれる。

 湯気に紛れて漂うシャボン玉。

 それはふわふわと。
 上昇と下降を繰り返して、やがて、パチン。音を立てて弾けて消えた。

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