第17章 xxx ending √2:KEIJI
京治さんと。光太郎と。
三人並んでゲームセンターを後にする。外は相変わらずの青空。冷えた空気が火照った頬に心地いい。
「それじゃ、俺たちはこれで」
言ったのは京治さんだった。
行こうか、カオリ。
そう付け加えて私の肩を抱く。唖然として、直後、弾かれたように焦りだすのは光太郎だ。
「え!ちょ、待っ、どこ行くの!?」
「どこって……ホテルですけど」
「ぬ、あ、なんだとォォォ!?」
うるさい。光太郎が。
ここ駅前通りなのに。
道行く人々に好奇の目を向けられて、顔が熱くなるのを感じた。それに加えて、私を赤面させた要素がもうひとつ。
(ホテル、って……?)
極々小さな声で京治さんに問う。
微笑みを返す彼。
私の右肩を抱く腕にグッ、と力を篭めたかと思えば、そのまま耳元に唇を寄せて甘えた声を出した。
(……したくなっちゃった)
腰がくだけるような感覚。
あえて例えるなら、膝かっくんをされた時のように。下半身に力が入らなくなる。鼻血すら出しそうになる。
私はなにも言い返すことができない。ただ、口をパクパクとさせるだけ。この金魚の人形みたいに。
「じゃあ光太郎くん、お元気で」
「待て!俺はまだ納得し」
「……またどっかで会いましょう」
その台詞を皮切りに、京治さんは走りはじめた。片腕に私を抱き留めたまま。
否、走るなんてもんじゃない。
もはやこれはダッシュである。
「ちょっ……京治さ、速っ、こ、転ぶ!転んじゃいますからァァァ──……!」
雲ひとつない冬空にこだまするのは、私の、情けない絶叫だった。