第17章 xxx ending √2:KEIJI
「これ、撮りませんか、三人で」
一頻りゲームで遊んだあとだった。
ちょっとぎこちない声色で、京治さんが提案する。彼の視線を辿ると、そこにあったのは一台のプリクラ機。
(京治さんがプリクラ!?)
思わず吃驚仰天。
光太郎と顔を見合わせる。すると、彼もまた目を白黒させて驚いているようだった。
「好きなフレームを選んでね!」
煌々と焚かれるのはLED照明だ。
スタジオさながらの光量で被写体を照らすそれは、熱い。ともかく熱かった。カーテンの中はまるで蒸風呂である。
「一回撮ってみたかったんだ」
嬉々として京治さんは言う。
タッチパネルを操作するのは光太郎で、私たちは、後ろからそれを見守っていた。
蛍光ピンク
ゴールドラメ加工
豹柄、ゼブラ柄
光太郎が選ぶフレームは派手なのばっかり。人となりが伝わってくるようだね。うむ。
「これで良し! 撮るぞー」
当然のように立ち位置センターだし。
ねえ、光太郎。
その、大きな手で作ったダブルピースね、私と京治さんの顔に丸被りしてるからね。気づいてるのかな。気づいてないよね。うん。
「光太郎デカい! 邪魔!」
「は!? ちょ、何すんだよ!」
「はいはい。喧嘩しない」
ああじゃない。
こうじゃない。
騒ぐだけ騒いで、たくさん笑って、お腹が痛くなるくらい。出来上がった写真に刻まれたのは、幸せの記憶。
三人でお揃いの一枚を選んで、それぞれのスマホに貼り付ける。
この幸せが永遠に続けばいいな。だなんて。月並みかな。でも、心からそう思った。