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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第15章 extra xxx 003



「お前、白鳥沢と絡んでんのか」

 マジでか。マジなのか。
 どんだけ鋭いのこの人。

 青息吐息とは、まさにこのことだ。
 正直に答えられるワケもなく、浅い呼吸を繰りかえす。心臓がいたい。息が苦しい。

「図星かよ、……あのなァ」

 絶対めっちゃ怒られる。
 親に叱られる直前の小さな子供のように。ぎゅ、と目を閉じて、叱咤されるのを待った。



 ぽふ。……ぽふ?



「え、な、なに……どうした黒尾」

 何がどうしてこうなったのか。
 私は黒尾の腕のなかに収まっていて、おでこには、彼の胸板が当たっている。

 初めて感じる、コーヒー以外の香り。柔軟剤だろうか。アロマのような優しい匂いがする。

「これ以上心配かけんなバカ」

「ま、また、バカって言う」

「バカだろうが。前にも言ったろ、俺ね、……お前のこと放っとけねえの」

 とくん、とくん

 黒尾の心音が伝わってくる。ゆったりしたテンポ。触れあうコート越しの肌。温かい。暖かい。

「会うたびに泣いてるしよ」

「う、……確かに、それは、うん」

「俺でよければ話聞かせてくれない? 別に、カオリが関わってる奴をどうこうしたりしねーから」

 狂う。調子が。心臓が。

 これ本当に黒尾鉄朗ですか。壊滅的に口が悪くて、粗暴で、目付きの悪い不良警官ですか。俄かには信じられない。


『……クロは、優しいよ』


 ふと思い出したのは研磨の、ああ、そうか。うん。やっと分かった気がする。

 そうだね。確かに。
 黒尾は優しい人だ。

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