第13章 extra xxx 001
彼の胸倉を掴んだまま、力一杯、相手の額目掛けて頭突きをする。間髪入れずに床に捩じ伏せる。蹂躙する。
幸いリーチは俺のほうが長いし、パワーだってほぼ互角。一瞬の隙さえついてしまえば、彼の身体から自由を奪うのは容易いことだった。
「痛、ってえな……離、せよ」
腕の関節をおかしな方向に曲げられて、彼の獰猛な瞳が苦痛に歪む。
何も答えない。
何も言わない。
ただ黙っておもむろに、俺は、12錠ワントレーの小さな薬を取りだした。
プチッ
小気味いい音がして錠剤が外へ押し出される。あとは、これを彼の口内に押しこむだけ。
吐き出したりされないように、一気に、喉の奥まで。突然異物をねじこまれた彼は抵抗する暇もなく、それを飲み込むしかなかった。
「ん、ぐっ……何、お前、今なに飲ませた……!?」
ラムネのようにシュワシュワと。
あっという間に溶けるそれは驚くほどの速効性で、この町では人気の高い代物だ。
すぐ寝れる。すぐ飛べる。
最高にきもちよくなれる。
効能は求める人間によって様々だけど、まあ、要するに神経の働きが異常になっちゃうワケ。
「岩ちゃん……君の、名前は?」
「……わ、っかんね、え」
「んー……いい子。上出来」
こっちの仕上がりは上々。
くたりと力の抜けた彼を鏡台の前に座らせて、木製の背もたれに手首を縛りつける。
片方は彼のネクタイ。
もうひとつは、俺の。
なんて扇情的な光景だろう。これからその顔がどう泣くのか、すごく楽しみだよ、岩ちゃん。