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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第13章 extra xxx 001



「……お前がいつまで経ってもそんなだから、俺は、この仕事辞めようと思ったんだ」

 苦しそうな声だった。

 喉から絞り出すようにして告げられた言葉。その言葉の意味がいまいち理解できなくて、俺は怪訝そうな顔になる。

「どういう、意味……?」

 声に出して問えば彼は、岩ちゃんは、怖いくらいに澄んだ瞳でこう言った。


「綺麗な顔した男だと思った。こいつなら、お前となら、この町で頂(テッペン)取るのも夢じゃねえって、そう思った。要はお前を利用したんだ。最初はただそれだけだったけど、一緒にいるうちに友達よりも大切な存在になって、今じゃ相棒だと思ってる」

「……だったら何で?」

「大切だからだ。お前のことが大切だから、だからこそ、今のお前はもう見てられない」


 彼は言う。
 俺は、及川徹は、他人を傷付けすぎたのだと。

 夢を叶える為なら何をしてもいいのか、と問うのだ。ガラス玉のように透き通った眼差しで。

 それは結局、岩ちゃんの初恋の人を、俺がひどく傷付けたことが今回の引き金になった、という事実でしかないのだけれど。

 彼はこうも言った。
 自分の夢を一緒に背負わせてしまったことを、申し訳なく思っていると。

 本当に申し訳なさそうに、苦悶の面持ちで、そう吐露したのだ。


「もう充分、お前は俺に尽くしてくれた。恩を返してくれた。だから、もう、誰かを傷付けてまで頑張らなくていい」

「…………」

「お前はお前の道を歩めよ、徹」


 俺、ただ、岩ちゃんの側にいたかっただけなのにね。

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