第13章 extra xxx 001
「だって岩ちゃんが悪いんじゃん」
恋に落ちたヒーローは少年を捨て、魔女と、太陽のかがやく国へと旅立ってしまうと言うのです。
少年はまたひとりぼっちに逆戻り。
常闇の国に取り残されて、ひとり、寂しくツラい人生を永遠に歩むのでした。
めでたし、めでたし。
「勝手に俺を救っておいて、くだらない恋のために、俺を捨てるんでしょ?」
「ち、が……っ俺は、そんな」
「何にも違くないよ!!!」
胸倉を掴んでいた彼の手を振り払う。
思いっきり振り払って、今度は逆に、両手で岩ちゃんの胸倉に掴みかかった。
「うちの店をこの町で一番にするんじゃなかったの……? そのために、何年も、地べた這いつくばるような努力して一緒に頑張ってきたんじゃんか! それが、突然何だよ……好きな女ができたからって簡単に夜上がれちゃうほどヤワな覚悟だったのかよ!!!」
一秒、二秒。
睨み合うだけの時間が続く。
部屋に響くのは惨めにも荒くなった俺の呼吸だけ。
岩ちゃんは、どうしてなのか、とても悲しそうな顔をしていた。
深く、細く、嘆息して。それから、なにか辛い決断でもしたかのように、ギュッと目を瞑る。