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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第13章 extra xxx 001



「昔々、あるところに、ひとりぼっちの可哀想な少年が暮らしておりました」


 紡ぐのはとある昔話。

 イタリア製のカウチソファに腰を下ろしたまま、視線は虚空を彷徨って、ただぼんやりと。言葉を吐き出していく。


「その少年はとても貧しく、いのちも危うい状態で、とある町を彷徨っていました。そこへ現れたのは黒いスーツを纏ったヒーロー。少年は、彼のおかげで、奇跡的に一命をとりとめたのです」

「おい……やめろ、及川」


 怒りと悲哀がないまぜになったような岩ちゃんの声。震えてる。もしかしたら、呆れも混ざってるのかもしれない。

 でも、俺はやめようとしない。
 絶対にやめてなんかやらない。

 どう思われようと、これで、最後だし。どうせ終わるなら嫌われて終わったほうが楽だから。


「しかし、ある日のこと、悪い魔女がヒーローに魔法をかけました。それはそれは、醜く恐ろしい、」

「お前……いい加減に」

「恋の魔法を」

「……──トオル!!!」


 反転する世界。軋む背骨。
 身体を襲う痛みに気付いたときには、もう、ソファから引き摺り下ろされたあとだった。

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