第13章 extra xxx 001
乱暴にドアが開け放たれて、反対側の壁にブチ当たって、豪快な音が部屋の空気を揺らす。
ああ、岩ちゃんの開け方だ。
よかった。来てくれた。
俺に会いに来てくれたワケじゃないけど、それでも、もし来てくれなかったらどうしようって不安だったから。
「及川っ……テメ、何、カオリは!?」
七分、か。
思ったより全然早かったなあ。店はまだ閉店作業中だろうし、潰れた従業員の追い払いも残ってるはずなのに。
全部放りだして全力疾走してきたんだね。だって、息、すごく上がってる。
「──そんなにその女が大事?」
ベッドに横たわってるカオリに気付いたらしい彼は、一直線に彼女の元へと駆け寄った。俺の言葉なんて無視してね。
雪のように白い肌
血のように赤い唇
すやすやと眠る彼女をそっと覗きこんで、その息があることにひどく安堵して、この上なく優しい顔をする。
その姿はまるで王子さま。
まったく嫌になるほど美しいね。
愛なんて浮かれあがった幻想に過ぎないのに。本当に、反吐が出る。