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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第13章 extra xxx 001



 待望の瞬間が訪れたのは、それから三十分後だったか、一時間後だったか。

 空が白みはじめた頃だ。
 ドアをノックする音が響いて、直後、聞こえてきたのは天童の間延びした声。

「ご注文の品ですよォ~」

 俺とさほど変わらない肩幅が担いでいるのは紛れもなく、あの女だ。

 薬で眠らされてるらしい。
 ベッドに放り投げられても、彼女の瞼はピクリとも動かなかった。

「ご苦労さま」

「毎度ありィ」

 軽やかな足取りで帰っていく天童を視線だけで見送る。しかし、何を思ったのか、やつはドアの前で足を止めて振り返った。

 ……どうでもいいけど、仰け反ってこっち見るのやめてくれないかな。不気味だから。すごく不気味だから。

 しかも、ただジッとこちらを見つめるだけで何も言わない。一体何だって言うんだろう。


「……なに?」

「男前さんも拉致ってきましょうかァ」

「は……?」


 驚いた。まさかそこまで読まれてるなんて。こいつどんだけ勘が鋭いんだろ。凄いを通り越して気味が悪い。

 不快感を露わにして睨むと、天童はパッと両手を広げてハンズアップをしてみせる。


「余計なお世話、だね。帰ります」


 神通力でも備わってんのか。
 それとも極端に臆病なのか。

 人のこころを読むだけ読んで天童覚は帰っていった。ゆっくりと閉じるドア。再び、部屋が静けさを取り戻す。

 さて、それじゃあ電話かけますか。

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