第3章 逆らいの条件
必死な言い訳に何故か涙が出てきて、及川先輩はその涙を信じたみたいだった。
「確かに、セックスでお前を俺の物にしたんだから……二年もしたら俺の魅力なんて忘れてるかもね」
私が必死に逃げようとしていたのと同じで、及川先輩が私を必死で追いかけていたのは……真剣だった。
怒ってるんじゃなくて、心から奮ってるみたいだ。
「もう過ぎたことはどうにもならない。だから烏野で好きにするといい」
ドサッ……
ベッドに押し倒される。
その瞬間、遠い感覚が蘇り始めた。
「今からもう一度シホを抱く。一回でもシホが俺に何かしてほしいって頼んだら、また俺の奴隷になって」
いきなり何を言ってるんだこの人は。
って事じゃない。
この条件をセックスする前に言われたって事は、それでも私が何かをこの人に頼んだら……。
私はこの人無しじゃ……抱かれなくちゃ生きられない存在になる。
「先に言っておくよ。俺が次にお前を奴隷にしたら、他の人間にだってセックスさせるし、一回裏切られた分何をするかわかんないから」
これだけ言ってくれるのはこの人なりの優しさ。
「それでも、もし奴隷が嫌なら。烏野で……俺達青城を倒せばいい」
きっと叶わない事だ。
だって、烏野なんかじゃ青城には敵わないから。
そんなチャンス、あってもないのと同じだ。
だから、今我慢しなくちゃ。
……岩泉先輩の前で抱かれるのは、ちょっと…あれだけど。