第13章 敗北の慰め
影山の腰の動きがさらに早まって、もう限界が近いんだとわかる。
ナカも気持ちいいところを無意識に重点的に擦り付けて動いていて、私もまた絶頂の波が押し寄せてきた。
「はあっ、あっ…!」
大きくなる影山の喘ぐ声。耳元に吐息がかかって、低く耳の中で響く。
ぐちゃぐちゃ音がして、激しく攻めたてられて頭が真っ白になった。
激しいのっ、奥、駄目ッ……イクッ!
「あっ、ああんっああぁぁ!!はあんっ…!」
「クッ…うっ、はあっ…!」
また体ごと大きく痙攣して達した。
影山は必死にかき集めた理性でアレを私のナカから引き抜くと、欲の塊を私の背中に吐き出した。
「はあっ…はあっ…」
荒い息で呼吸する影山。
快感も痛みも苦しさも消えていく。
何も無くなって、部屋の中は小さな呼吸の音だけ。
おわった……。
力が抜けて私は上げていたお尻を落として、ただうつ伏せに寝転ぶ体勢になった。
解放感と虚無感に襲われて。
やっと、終わった……。
溢れ出てきた温かい涙が、横向きにした顔を静かに伝ってシーツに落ちていく。
もう涙を止める術がわからなければ、止める気もなかった。
「シホ……?」
私の背中にかかる久しぶりに聞いた影山の声。
一度も顔も合わさなくて誰とセックスしてるのかもわからなかった影山が、まるで意識を取り戻したみたいな声だった。
今更、遅いよ……。
「ううっ…ひっく……」
嗚咽が漏れて、もう隠せないと思って声を出して泣いた。
「うわあぁっ…」
「シホっ…!」
慌てて影山は私の肩を引っ張り起こして抱きしめた。
力なく影山の胸元に倒れ込んで私はその中で大泣きする。
暖かい体温が私を包み込んで、さっきまであんなセックスしてた人とは思えなかった。