第13章 敗北の慰め
謝る私も気にせず、影山は私を壁に寄りかからせてもう一度ソレを口の中に押し込んできた。
さっきよりも角度は幾らかマシだけど、私がフェラしやすくなんて全然ない。
普段の影山なら私が嘔吐く時点でフェラさえやめてるはず。
そんな人だと思ってたのに、やめるどころか私の頭を押さえて腰をゆっくり動かし始めた。
澤村先輩にされた時みたいな、あの苦しい感覚を思い出す。
「んんっ……」
これも受け入れなきゃ駄目かな……?
苦しいっ……。
私は酷くしてって言った時にきっと、痛いのならまだしも、息さえ苦しくなるこの行為のことは考えてなかった。
好きじゃないっ、お願い…やめて……!
私からは言えないから、気づいてよ……ッ。
受け入れるって覚悟してた意地で涙を堪えようとしても、苦しさで生理的な涙が溢れ出す。
心のどこかで、私を好きだって言う影山がこんな事して止めないわけないと思ってた。
苦しくって縋る思いで影山の顔を見上げれば、私の方なんて見てなくて顔を歪めて私の頭を揺らして押さえつけるだけ。
影山がイクまでずっとこの苦しさから逃れられない……気の遠くなる事実に絶望する。
ねえっ……影山はどこを見てるの?
誰とセックスしてるの……?
それでもどんなに苦しくても、影山を酷いとは思わなかった。
この状況に持ち込んだのは酷くして欲しいって言った私で、影山はそれに付き従ってくれただけ。
そして何より、どんなに苦しくたってこの行為を私から止めさせるって選択肢が思い浮かばないんだ。
意地なのか影山への受け入れの気持ちなのかわからない。
生理的な涙とは別に、馬鹿な自分にすら涙が溢れてきた。
大粒の涙と一緒に抑えきれない嗚咽を、影山はまた気づかないまま一層強く喉の奥に押し付けた。