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眠れない夜

第1章 二人の夜


夏も深まり、頰を撫でる風が心地よく感じられる夜。
鈴虫の鳴き声をBGMに一組の男女が部屋の中で抱き合っていた。

亜利沙は、不安と期待が入り混じったような目で智彦を見ると、 頰を染めて視線を斜めに逸らし、強請るように唇を突きだした。

智彦は愛おしそうに微笑むと、ほんのりと染まった彼女の頰に手を添え、ゆっくりと唇を重ねる。
それは触れるだけの口付け。

だが、抱き締めた彼女の身体や重なり合った唇から伝わってくる匂い、柔らかさ、そして熱が智彦の抑圧された劣情を呼び覚ました。

–もっと触れたい–

浮かび上がる黒い感情とそれを押さえつけようとする白い感情の中で智彦が葛藤していると、
ふいに彼女と目があった。
その何かを求めるようにしっとりと濡れた瞳に見つめられた途端、智彦の理性は崩壊した。
彼女の後頭部に手を這わせ、深く強引に口付け、貪る


亜利沙は、角度を変え、時に唇をなぞるように、時に啄むようにと、休む暇なく与えられる刺激に身体を震わせると、強張っていた力を抜いて、重心を智彦に委ねた。

彼女が力を抜いたのを確認すると、智彦は己の舌で、彼女の噛み合わせた歯列を舌先でなぞる。
すると亜利沙は吐息のような声を漏らし、その擽ったさに思わず少し口を開けてしまう。智彦はその隙を逃さず舌を彼女の口内に滑り込ませると暖かい彼女の舌に自らの舌を絡めた。

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