第1章 カルセドニーの導き
ロッカの言葉にアレスはふむ、と顎に手をやり思案する。
村の現状からして、行列に並ぶほとんど人間は野宿になるだろう。
不特定多数の輩が溢れる場所で女一人野宿…目に見えて危険である。
アレスは危険度を天秤にかけて、彼の提案を受け入れた。
「わかりました。お言葉に甘えさせて頂きます」
「では、早速ご案内しますね」
ロッカは列の最後尾の案内を他の団員に任せようとして周囲を見渡す。その視界に、目当ての人物を見つけた。
「おい、リューグ!」
彼の呼び掛けに反応してこちらに踵を返した青年の顔に、アレスは小さく驚いた。
「同じ顔がもう一人…」
「あいつは僕の双子の弟のリューグです」
「なんだよ兄貴、その女」
兄と一緒にいる見知らぬ人間を、その青年は無遠慮に睨み付ける。