第3章 ペリドットの癒し
いつになく焦る様子の上司に、らしくないなとイオスは思う。
「ゼルフィルドの小型探知機を、アレスの上着に忍ばせてあります」
ゼルフィルドとは、黒の旅団唯一の機械兵士である。
「ゼルフィルドを呼べ」
「かしこまりました」
口早な命令にイオスは頷き、機械兵士の元に急ぐ。
「…あの女、一体何者なんだ」
普段冷静沈着で感情を表に出さないルヴァイド様を、あそこまで動揺させるなんて。
何故か面白くない気持ちにさせられたイオスは、馬鹿馬鹿しいと苦笑した。
そして目的の相手を見つけて、走る足を止めた。
「おい、ゼルフィルド!」
朝日を浴びて充電モードに入っていた機械兵士に声を掛ける。
すると、無灯だった頭部の眼孔部分がチカチカと瞬き、光が点灯した。
黒い機体が起動する。