第3章 ペリドットの癒し
聖女に出会い、ルヴァイドと出会ったのも何かの縁だ。しばらく様子を見よう。
「あら、この土地には石英が多いのね」
急に鉱物鑑定士の顔に戻ったアレスは、不安を誤魔化すように地質を調べ始めたのだった。
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ルヴァイドが目を覚ました時には、夜はすでに明けていた。
夢見の悪い作戦を行ったのにも関わらず、精神は凪のように穏やかだった。
そしてベッドを見やり、藻抜けの空だったことに驚く。
「…逃げたのか?」
寝袋から出て、護身用の剣を取り天幕から顔を出す。
すぐ傍に腹心の部下の姿があった。
「イオス、アレスはどうした」
「おはようございます、ルヴァイド様。あの女は散歩に行くと言って出かけていきました」
「逃がしたわけではあるまい?」