第3章 ペリドットの癒し
アレスはイオスに手を振り、まだ薄暗い林の中に入っていく。
別に尿意を催していたわけではない彼女は、しばらく草木をかき分けて歩いていった。
歩きながら先程の事を頭で整理していく。
あの妖しい男はルヴァイドの負の感情を弄びたいという危険人物だ。
「本当に悪魔だったりして…」
サプレスの悪魔は、人間の精神に食指が動くと聞く。
「とにかく、ルヴァイドをアイツの魔の手から守ればいいのね」
恋仲になることは別として、とりあえずルヴァイドの側に付いてみるか。
彼を守る義理はないが、自分の生命さえも危ぶまれてはしょうがない。
「それに、私がこちら側にいれば聖女を守れるかも」
ここの連中は、何やらアメルを狙って動いている。また再び接触の機会がやってくるはずだ。