第3章 ペリドットの癒し
「逃げる気か?」
すぐさまギロリと睨み付けてアレスを牽制するイオス。
彼女は小さく笑った。
「違うわ。起きてしたいこと…って言ったら、アレよ」
「………あ」
数瞬間を置いて、イオスはアレスの言っている事に思い当たった。
「…少し離れた方が良い。僕がその辺りまで案内しようか」
「覗く気でしょ」
「馬鹿を言うな!!」
アレスの冗談に、イオスは顔を上気させて本気で怒鳴った。
「いいか、逃げようなんて気は起こすなよ」
「はいはい。杖も荷物も全て貴方達の手中にあるんだから、逃げないわよ。それに…」
私はルヴァイドを守らなくちゃ、ゲームに勝てないようだから。
「…どうした?」
「…いえ、何でもないわ」
突然押し黙ったアレスを、イオスは不思議そうに見つめた。