第3章 ペリドットの癒し
しばらくすると、イオスが水の入ったグラスと黒のカーディガンを持って戻ってきた。
アレスはグラスを受け取り、一気に飲み干す。
「…ふぅ、ありがとうございました」
「冷えると思って上着を持ってきた。僕ので良かったら羽織るといい」
アレスの格好は、ノースリーブで裾がストンと落ちるワンピース。
朝の山間では寒々しい格好をしていた。
「イオスは優しいですね」
「…別に」
感謝されて照れるイオスだったが、真面目な顔に戻るとアレスに言った。
「敬語は止めろ。ルヴァイド様とは普通に喋っているのに僕に敬語を遣われては、部下に示しがつかない」
確かにイオスの言うことに一理あると、アレスは素直に頷く。
「分かったわ。それじゃあ、ちょっと辺りを散歩してきても良い?」