第3章 ペリドットの癒し
テントを出ればまだ夜明け前で、若干空が白んできた時間だった。
森の清々しい空気を肺いっぱいに吸い込んで、アレスは先程の恐怖心を落ち着かせる。
その背中に、聞き覚えのある声が掛かった。
「おい」
「きゃあ!?」
「何もそんなに驚かなくても…」
意外な程に驚いたアレスに、声を掛けたイオスも面食らった。
「…なんだ、イオスさんでしたか」
「イオスでいい。……アレスとか言ったか、お前、顔色が悪いぞ」
怖い夢でも見たのか?
「……まぁ、そんな感じかな。イオスさんは?」
「僕?僕は陣営の警備だ」
まるでアレスを子供扱いするのイオスに、彼女は彼の優しさを垣間見た気がして微笑んだ。
「待ってろ、今水を持ってきてやる」
面倒見のいい人だなぁ、とアレスは感心する。