第1章 カルセドニーの導き
宿泊場所を確保して休息を取りつつ、道すがら採取してきた鉱物の鑑定をしようと思っていたアレス。予定が呆気なく霧散した事に落胆を隠せない。
そんな彼女に、ロッカは一つの案を提示した。
「もし良かったら、僕の家に泊まっていきませんか?」
「そんな、初対面の方にそこまでご迷惑はかけられません」
暗に、男性宅に上がり込むことは身の安全を確保する為にも避けたいと言っているのだが、目の前の好青年にはアレスが好意に恐縮しているように映ったようだ。
親切心溢れる笑顔で話を続ける。
「アレスさんは他のお客様とは違いますし、何より地質調査をされるなら情報を提供し合いましょう」
ロッカとしても、自警団長として調査内容を把握しておきたいのだ。