第9章 ラブラドライトの叡智
──レイム•メルギトス。
デグレアの顧問召喚師の正体は、かの悪魔王メルギトスで。
仕えてきた国家が既に亡国と化していた事に、ルヴァイドは衝撃を受けずに居られなかった。
『我等は、メルギトスのていの良い駒に過ぎなかった訳か…』
衝撃が激情に変わり、燃えてしまいそうに熱くなる魂。
「理不尽な命令にも耐えてきたと言うのに…これじゃ…あんまりだ…」
イオスの、絞り出すような悲しみの声に、今度は冷や水を浴びたかのように冷めていく魂。
『…俺はこれから…どうすれば良い…?』
感情が露わになる魂の姿では、揺らぎが直に反映される。
明らかになった事実と、殺された部下たちの姿にルヴァイドは絶望した。
いっそ夢であれば良いと、力無く瞼を閉じる。
「──ルヴァイドは、戻って来ないの?」
はっと声のした方を見やれば、アレスが紫の瞳からポロポロと涙を流していて。