第2章 ターコイズの守護
「娘一人の誘拐に何を手間取っているかと思えば…たかが冒険者ごときに遅れをとっていたとはな」
焼け落ちる村の真ん中で響く、凛とした声。
髑髏の男は、僅かな疲労を含む声色でセオリー通りの台詞を吐いた。
「大人しく聖女を渡せ。そうすれば苦痛を感じる間もなく終わらせてやる」
結局は皆殺しか。
マグナ達は、男の持つ剣から滴る血に、自らの死が頭によぎる。
顔面蒼白で抵抗の色を弱めた冒険者達に、髑髏の男が一歩踏み出せば。
「どりゃあああ!!」
「させるかぁあ!!」
咆哮と斬撃音が同時に響いた。突然の攻撃に、髑髏の男は間合いを取らざるを得ない。
その隙をついて、マグナ達の前に庇うように立ったのは…。
「ロッカ!!?」
「ここは僕たちが引き受けます。皆さんは逃げて下さい!!」