第2章 ターコイズの守護
それもそのはず、襲撃など想定もしていない小屋の前には門番などおらず、入り口には無防備な侍女たちの亡骸が転がっていた。
情け容赦ないその有り様に、ケイナが嗚咽を溢す。
「しっかりしろ、ケイナ」
「だってフォルテ、こんなの…あんまりよ…っ!!どうして!?」
「もう見るんじゃねぇ」
フォルテは泣き叫ぶ彼女の小さな体を、虚ろに見つめる死体の視線から庇うようにして抱き込んだ。
「…これでは聖女は絶望的だな。気は済んだか?」
早く逃げないと、僕達も彼女達の二の舞だぞ。
血の海に沈む女性達の歪んだ表情を、眼鏡越しに淡々と見つめるネスティ。
感情の乏しい表情ながら、僅かに哀悼の眼差しが見てとれた。
マグナは悔しそうに唇を噛みながらも、兄弟子の言葉に頷くしかなかった。