第7章 クリソプレーズの囁き
陣営の警備にあたっていたところ、アレスに忍ばせておいた発信機からの信号を感知し、様子を見に行くと山賊に襲われていたので助けて連れ帰った。
およそ10秒で終わった機械兵士の無駄のない簡潔な説明に、イオスの顔から血の気が引く。
恐る恐るとなりのルヴァイドを見上げれば、傍目でわかるほどの怒りを表情から滲ませていた。
「…ゼルフィルド」
「何カ?」
「もちろんそいつ等の息の根は止めたんだろうな?」
任務以外での殺生は好むところとしない男が、抹殺を望むほどその鉄仮面の下で怒っている。
それもこれも、アレスに手を出されたからに他ならない。
ゼルフィルドは大きく頷いて見せた。
「モチロンダ。……ソレカラ、」
まだ何かあるのかと、ルヴァイドとイオスは眉間を寄せる。
イオスは、頼むからこれ以上ルヴァイド様を逆撫でする発言をするなと、胸中で付け加えた。
ゼルフィルドは、眼光を数回点滅させて言う。
「アレスノ名誉ノタメニ言ウト、未遂ダ」
賊に襲われていたが、犯される前に始末したのでアレスは汚されていない。