第7章 クリソプレーズの囁き
「アレス、起キロ」
将が心配そうにお前を見ているぞ。
「…ん、ここ、は…?」
「しっかりしろ!俺が分かるか!?」
ゼルフィルドに揺さぶられてうっすらと目を開けたアレスを、ルヴァイドは悲痛な面持ちで覗き込んだ。
熱に浮かされたような表情のアレス。
咄嗟に額に手をやれば、案の定高熱が出ていた。
「ルヴァイド様!衛生兵を連れてきました!」
イオスと、その後ろに付いて駆けてきた赤十字の腕章を付けた兵士がルヴァイドの天幕に到着した。
ゼルフィルドがそっと地面に跪き、衛生兵が診やすいようにアレス抱え直す。
「……、特に目立った外傷はありませんな。冷えと疲労からくる発熱でしょう」
「召喚術での回復で間に合うだろうか?」
イオスが衛生兵に問い掛ける。
「体力が回復すれば、熱も下がると思いますよ」
「ならば俺がやろう」
ルヴァイドはかじる程度にしか召喚術を学んでいないが、生まれ持ったセンスの良さで中程度の回復術を扱う事が出来た。
サモンナイト石を取りに行こうと、テントに踵を返したその時。