第7章 クリソプレーズの囁き
「…今度会ったら伝えてみるよ」
まだアレスに対する疑念が消えた訳じゃないけれど、彼女がアメルや自分達に見せた行動を思い出す。
自ら矢面に立って、敵の攻撃を受けて立とうとするアレス。
みんなを守りたい一心なのに、不器用だから傷付いて。
それでも、自分が耐えれば良しとする、おこがましいまでの自己犠牲の精神を僕は嫌いにはなれない。
だから、言おう。
両親の時のように後悔したくないから。
また、アレスの笑顔が見たいから。
そうロッカは決意する。
そんな彼の心境表すかのように、雨音も大人しくなったのだった。
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