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セレスタイトの歌声【サモンナイト2】

第7章 クリソプレーズの囁き


「………そうだったかな」

お茶を濁してみせるが、いつも村人たちに「お兄ちゃんなんだから泣くんじゃない」と言われていた事を思い出す。
同時に、リューグの奴は全く泣いていなかったな…と朧気に記憶が蘇ってきた。

「そうよ。行かないで、そばにいて…って泣いて、ご両親を困らせてたもの」

仕事で村を離れている間は、アグラバインの家でアメルとも一緒に過ごしていたのだ。両親が不在の間、情緒不安定な様子をしっかり見られていたのだろう。
随分むかしの事なのによくそこまで憶えていたな、と逆に感心させられる。

「……不安だったんだよ。もう二度と会えなくなるような気がして」

その不安は的中して、両親は生きて帰って来なかった。
もっと強く引き留めれば良かったと、無力な自分を呪ったりもした。

「…そういえば、葬式の時もリューグは泣いていなかったな」
「……嫌なこと思い出させてごめんなさい」
「別に気にしてないよ」

そう、過去の事だ。
どんなに後悔しても両親は帰ってこない。
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