第6章 アイオライトの涙
雨が降ってるのも、
服が張り付いて不快なのも、
こんな時間に山を歩いているのも、
仲間たちの元を去らなければならなかったのも、
全ては自分のせい。
だけど今はこのやるせない気持ちの持って行き場がないから…
「貴方たちに八つ当たりさせてもらうわ」
「ひ…っ!!」
山賊は身の危険を感じ取り逃げようとするが、仲間を置いては行けないのか戸惑いながらナイフを構えた。
アレスは薄笑いを浮かべて次の詠唱を口ずさみ始める。
しかし、足を掴まれた事態にその笑顔が凍り付いた。
「な…!?もう回復したっていうの…!?」
「山の男は打たれ強いのさ」
殺傷能力が低い術とはいえ、まともに食らえば意識を失い暫くは動けないはずなのに、男は数分で起き上がってきたのだ。
「きゃあ!?」