第6章 アイオライトの涙
ルヴァイドに渡したペリドットの気配を辿って旅団の基地まで向かおうとしているわけだが、如何せん雑念が邪魔して集中出来ない。
アレスの予想以上に、ゼラムを出てからここに来るまで時間が経ってしまっていた。
目の前に林が広がる。
アレスの足が止まった。
夜の山に入るのは危険だ。
しかし今さら引き返すことも出来ず、周囲に雨宿り出来る家屋もない。
アレスは暫く考えて、雨風を凌げるような場所を探そうと山に足を踏み入れることにした。
その判断が間違いだったということは、そう経たない内に痛感することになる。
雨足が強まる中、アレスは進路に立ちはだかる二人の男を前に苦々しく表情を歪めた。
「よぉ、こんな時間にどこ行くんだい?」
「夜道を一人で歩くなんていけねぇなぁ」