第6章 アイオライトの涙
「爆炎が吹き荒れる中、家屋の柱が私に向かって倒れてきたわ」
「…そこを黒騎士が助けてくれたんですか?」
「そう」
問い掛けてくるアメルに、首を縦に振って見せた。
「…それから、アレスはどうなったんだ?」
「黒騎士に捕まったわ。聖女一行を庇った私には、人質としての価値があったのかも知れない」
黒騎士の本意は分からないが、とマグナに言う。
「敵陣営に連れて行かれて、彼らと話をして、根っからの悪党ではないと思った」
「…悪党じゃないだと!?」
「話の腰を折るんじゃない」
いきり立つリューグをネスティが諌めた。
「被害を受けた貴方たちの感情を逆撫でしてごめんなさい。でも彼らは本心から村の滅亡を望んでいたわけじゃなかったのよ」
苦しみの中、作戦を決行せざるを得なかった。