第6章 アイオライトの涙
ルヴァイドはそう言い残すと、兵士達を引き連れて姿を消した。
後に残されたアレスは、仲間の中にあって居心地の悪さを感じてしまう。
「…とりあえず、帰りましょうか」
ミモザの一声で皆がようやく武器を納めた。
「帰ったら、詳しく聞かせてくれるだろ?」
フォルテがアレスの顔を覗き込む。
アレスは唇を噛んで目を伏せるばかり。
彼女のそんな表情を見るのは初めてで、フォルテは何も言えず、しかし少しでも安心して欲しくて無言でアレスの頭を撫でてやった。
歩き出した仲間の後を追うように、アレスも一歩踏み出す。
何気なく空を見上げた。
青い。しかし風が雨の匂いを運んでくる。天気が崩れそうだ。
湿地にいるせいの勘違いであれば良いのにと、アレスはそんな事を思ったりした。
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